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【志布志防災X】第20回 線状降水帯はなぜ予測が難しいの?

ページID:0035225 更新日:2026年9月17日更新 印刷ページ表示

皆さんは、「葉みず花みず」という言葉をご存じでしょうか。これは「彼岸花」の別名です。花が咲いているときはには葉がなく、葉が茂っているときには花がないという花の生態から付けられた名前だそうです。道路脇や田んぼの土手あちらこちらに見られるようになってきましたね。

 

さて、今年5月に防災気象情報のしくみが見直されましたが、見直し早々、千葉県をはじめ、北陸、東北、屋久島、東海など、各地で「レベル5大雨特別警報」や「レベル5土砂災害特別警報」が発表されています。

この「レベル5」の特別警報が発表されたときは、数十年に一度しかないような、これまでに経験したことのないほど重大な危険が迫っている状態なのですが、今回の事例では、その大きな原因の一つが、「線状降水帯」と呼ばれるものでした。

線状降水帯って何?

線状降水帯の正体は、実は皆さんもよく知っている「積乱雲の群れ」です。積乱雲は、強い雨や雷をもたらす背の高い雲です。暖かく湿った空気が次々と流れ込み、山の斜面などにぶつかり上昇すると、積乱雲が次々に発生します。そして、上空の風に流されるようになると、積乱雲が列をつくるように並びます。このようにして、同じ場所に強い雨が長時間降り続く状態が「線状降水帯」です。

一つの積乱雲が雨を降らせる時間は、長くてもおよそ1時間程度です。ところが、積乱雲が次から次へと発生するとどうでしょう。一つの積乱雲が通り過ぎても、すぐ後から次の積乱雲がやってきます。そのため、同じ地域に強い雨が何時間も降り続き、河川の氾濫や土砂災害などの危険性が急激に高くなります。

 

なぜ線状降水帯の予測は難しいの?

発生メカニズム

(イラストは気象庁HPより引用)

気象庁のホームページでは、線状降水帯が発生する代表的なしくみを紹介しています。しかし、線状降水帯には、まだよく分かっていないことがあり、その発生の細かなしくみが、まだ完全には解明されていないのです。実際の大気の中では、様々な現象が複雑に組み合わさっていますから、「どこで、いつ、どのように線状降水帯が発生するのか」を、細かなところまで完全に予測することは難しいのです。

そしてもう一つ、予測が難しい大きな理由があります。それが、コンピューターによる天気予報の限界です。

 

コンピューターはどうやって天気を予測している?

現在の天気予報では、コンピューターを使ってこれからの天気を計算しています。

この計算を「数値予報」と言い、計算に使うコンピューターの仕組みを「数値予報モデル」と呼びます。簡単に言うと、地球全体の大気や海、陸地を細かな「マス目」に分けて考えます。そして、それぞれのマス目に、

〇気温

〇風

〇湿度

〇気圧

などの情報を入れます。

これらの「今の状態」をもとに、物理学などのルールを使って計算し、「これから大気がどう変化するのか」を予測します。つまり、コンピューターの中に地球の大気の模型を作って、未来の天気を計算していると考えると分かりやすいでしょう。

全休の大気を格子で区切ったイメージ

(イラストは気象庁HPより引用)

小さな積乱雲を再現するのは難しい

ここで問題になるのが、積乱雲の大きさです。数値予報モデルでは、地球全体を細かなマス目に分けて計算します。しかし、そのマス目よりも小さい現象を、コンピューターの中で細かく再現することには限界があります。積乱雲は、天気を変化させる現象の中では比較的小さく、しかも発生してから消えるまでの時間が短いという特徴があります。そのため、コンピューターの計算の中で、一つ一つの積乱雲を正確に再現することは難しいのです。そして、線状降水帯は、その小さな積乱雲が次々に発生してできたものです。つまり、

「一つ一つの積乱雲を正確に再現するのが難しい」 → 「積乱雲が集まってできる線状降水帯を正確に予測するのも難しい」

ということになります。

雲の再現格子の大きさ

危険を感じる前の早めの行動が大切

新しい防災気象情報では、線状降水帯について「半日前予測」と「直前予測(2~3時間前)」の2つが発表されることになっています。線状降水帯の予測情報が発表されたとき、線状降水帯が必ず発生するという意味ではありませんが、大雨災害の危険が高まる可能性があると考えて、最新の防災気象情報を確認し、危険を感じる前に早めに行動することがとても大切になります。

 

これまでの志布志防災Xは、以下のリンクから確認できます。

志布志防災X

 

気象防災アドバイザー・気象予報士 黒川晃

 

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